【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
フィガロワッハが、それまでとは違うくらい熱を孕んだ紅蓮の炎を纏い、ロテュスの体を貫いた。
地割れのような轟きが辺りを這う。
一行は、その波に飲まれないよう、身の寄せ合いなんとか持ち堪えた。
白濁した空間の中で、ロテュスの最後の呪詛が徐々に消えていく。
皆、呼吸の仕方を忘れてしまいそうな瞬間だった。
「終わった…のか…?」
ワイアットがそう呟いた事で、皆の緊張が一気に解ける。
ジャックとレヴィは、周りを見渡し…大きく深呼吸をした。
「空だ…光が、ある…」
キラキラと、そこここに、瑞々しい光が反射していく。
オリヴァーは、跪くと地に手を当ててから、その手を額に添えて、感謝の意を口にした。
それは、同時にグレイスへの感謝でもあった。