【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
「イーサン、オスカー…私が居ない間、国を守ってくれてありがとう…」
「いいえ、イザベラ様。それよりも…よくこの戦いに勝って下さいました。私達も…そして国王もイザベラ様のご無事を心より祈っておりました…」
「あぁ…お父様……」
「国王は…最期までイザベラ様の勝利を強く願って、そして信じていらっしゃいました…ですから、イザベラ様…どうか涙をお治め下さい…」
「でも……」
イザベラは、溢れ出す涙を止めることが出来ない。
大切な愛しい父はもう、いない。
これからは、1人だ…。
周りにいくら大好きな人達がいたとしても、たった1人の肉親を失った痛みの底はきっと、誰にも理解してもらえないだろう…。
「泣かないで…イザベラ…オレがそばにいるから…」
「…っ……コナー…」
慈しむようにコナーはイザベラを抱き締めた。
それでも、イーサンやオスカーは何も言わなかった。
それは、コナーがグレイス神だと気付いていたから…。
そして、イザベラにとって、特別な存在であると理解していたから……。