【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
「イザベラ…おぉ、イザベラ…我が娘よ…」
「お父様、イザベラはここにいます…」
差し出された震える手を、両手でそっと握り締め、イザベラは父の顔を覗き込む。
その瞳には薄っすらと涙が溜まっていた。
「…イザベラよ、私の望みを、最後の願いを、叶えておくれ…」
「最後、だなんて…」
イザベラはそう言って口を噤んだ。
噛み締めた口唇がヒリヒリと熱を孕んでいく。
それだけ、目の前の父の姿は儚いものだった。
「もう、時間がない…さぁ…イザベラ。もう少し近くに顔を…」
「はい…」
マシューはイザベラを自分の傍に引き寄せる。
イザベラは泣くのを何とか必死に堪え、父の言う通りにベッドの脇に腰を下ろした。