【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
「オレはいつでも、キミの味方だよ?」



「コナー…」



「アリア、目の前のものだけに惑わされてはいけません。己の心の声に耳を傾けるのです…」







オリヴァーが静かに、まるで審判を下すかのようにそう囁く。





アリアは、シィースラインをきゅっと握り締めた。

このペンダントを継承してから、どれくらいそうして来たことだろうか?




指先がまるで自分のものではないように、悴む。



さっき、水に触れたからだろうか…いや、緊張のせいかもしれなかった。


目の前にいる者は、果たして幸運をもたらす者か…それとも破滅に導く者か…。


アリアはじっとコナーの瞳を伺う。

コナーは相変わらず、何を考えているのか分からないような、そんな表情をしているように思えた。



けれど、アリアは思った。




何かこの人とは通ずるモノがある、と。

もしかしたら、運命を共にするかもしれない、と。




十分な間を持ってから、アリアは告げた。



「いいわ。コナー…。貴方を私の仲間とする。けれど…約束をして?」



「なんだい?」



「けして、うそぶいた《詩》を詠わないこと。【その時】が来るまで…」



「うーん。それ、自由な詩人であるこのオレに、約束させるの?…で、その対価は?」



「私を…私を差し出すわ…」





その言葉に、そこにいる全員が息を飲んだ。



コナーは楽しそうにケラケラと笑う。





「へぇ?キミを?それは素晴らしいね…いいよ。じゃあ、その約束を誓おう…」




コナーはそう言うと、アリアの前に跪き、徐にアリアの手を取った。




そして、ベールを解くと、その手の甲に口づけを落とす。


あまり熱を持たない口づけだった。






「この世の終わるその日まで、ともに二人在らんことを」





相変わらず鈴のなるような声は、何処までも透明感に溢れ、それとは逆にどこか捉えどころがなく、心許ない。





「さぁ、これでキミへの誓いは済んだ。キミは今からオレのモノ。オレはずっとキミのモノ。もう後戻りは出来ないよ?」



「…分かってるわ」





そうして、アリアはコナーとの契を交わす事となった

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