【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
「そう、だったの…」

「私の事はどうだっていい。今はこの場をどうやり過ごすかだ。もう既に向こうは我々の存在に気付いているようだからな…」

「え…?」


アリアが聞き返すのと同時に、風向きが急激に変わった。



ビュォォォォォッ




その猛烈な風の音と共に、甲高い女達の耳障りな笑い声が何十層にも重なって混じる。


耳が割れてしまい、そうだ。


アリアは自分の耳に手を当て、反射的に身を低くした。
コナーもそれに習う。

そうすると、不思議なことに、コナーと触れている部分だけ…ほんの少しの場所なのに…無の空間が出来た。
アリアは、知らない内にその空間を使って、幼い頃からイーサンに習っていた印を片手で結んでいた。


< 57 / 169 >

この作品をシェア

pagetop