【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
「自ら、此処から離れた…もう、二度と戻ってくる事はない…それに…これから生き続けられるかも分からない…」

「なんてこと…」


アリアはそう言ってから絶句する。


そんな惨いことがあってもいいのだろうか。
アリアはそう思いシィースラインを握り締め、泣き出しそうな気持ちに蓋をする。


泣いてはならない。
けして。
そう決めたではないか。
アリアは自分を奮い立たせた。




そして…こうも覚悟した。



「必ず、ルークを見つけ出して、助けてみせる」


力強いアリアの呟きに、地の底まで低下してしまいそうな一行の空気が一気に浮上する。


「そうだな!ルークは俺達で助けるぞっ、と」

「なんせ、俺達がいないとルークは駄目だからな」


ジャックもレヴィも、アリアの肩を掴んでわざと明るくそう続けた。
そこに、クロエが必死に涙を堪えて頷いている。
エステルは、相変わらずウーゴの怪我の面倒を見ていて、それでもこの状況が余程身に堪えているのか、顔色が頗る悪かった。


オリヴァーは口唇を噛み締め、何かを思い詰めている。
それに対してワイアットは、無言でオリヴァーの肩を静かに一度だけ叩いた。



「旅はまだ先が長いよ…少し体力を回復させてから移動しよう。ここなら、もう敵はいないだろうから…」



コナーがそう言って、アリアの手を取った。


「さ。アリア…キミも少し休むんだ…キミが休んでいる間は、オレがキミを守るから」

「…ありがとう…コナー」


一行は、今まで夢食い達がいた洞窟の中に注意深く進んで、何もいないことを確認すると、各々思い思いの格好で休む事に決めた。



皆は、まだ、知らない。


ルークが、本当はどんな想いでこの此処から抜けたのかを。
どんな支配があって、此処から出て行ったのかを…。

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