お姫様は俺のモノ
白で統一されたラブホテルの門をくぐり、部屋のキーを受けとると、白雪を連れて歩き出す。


部屋に入ると、荷物をソファーに起き項垂れる。


「ごめん、白雪。


やだよな?こんな部屋。


一晩我慢できる?」


びくり、と揺れる体。



緊張してるーー?


「大丈夫ーー だけど何で此処でみんなは?」 


そりゃ、そうだ。


白雪は、何も知らないんだから。


俺が颯とケンカしたこと。


いきなり連れ出されて、白雪の目には不安が宿る。


「颯さんとなんかあったのーー?」



いきなり、いい当てられた答えに、目を見開く。


やっぱり、と彼女は、笑った。


「私のせいーー?


私がみんなに出会わなければ、みんな悲しくならないのに。


ごめん、ごめんね」 



ただ、悲しくてひどく悲しくて涙を抑えられない。


いつもそう。



私の周りから人が居なくなるのは、変わらない。


私が小学5年生の時、仲のいい幼馴染みの女の子がいた。

「白雪ちゃん、私好きな人いるんだ。今から告白してくるよ」 


「へ~頑張ってね、凛ちゃん」 



だけど帰ってきた凛ちゃんは、ひどく泣き張らした顔をして私の机にきたの。



「やっぱり、みんな白雪を好きになる。


だから、私は白雪なんて嫌い。



だいっ嫌い」


ひどく心に残った言葉に、自然と涙が込み上げる。


後から知った話、凛ちゃんの好きな人が私を好きだと言ったこと。



ごめん、凛ちゃん。



人を好きになると、誰かが傷つく。



あれから、凛ちゃんとは小学生を卒業して離れていった。


気づいたら、まわりには誰もいない。



信頼できる親友も…………



ポタポタと、泣き出す私の体を抱き締める海くんがいた。



< 169 / 231 >

この作品をシェア

pagetop