お姫様は俺のモノ
嘘の彼女になって欲しいなんて、普通はいやだろう。


だけど、私は、少しの間でも相模さんの彼女で居たかった。


「嘘でもいいよ」


もしかしたら本当の彼女になれるかも、なんて少しの期待を胸に抱きながら。


だけどーーーー



白雪さんを、見た瞬間ーーああ、負けた。


勝てるわけない、と思った。



物語に出てくるお姫様、そのものなんだから。



私達を、見た白雪さんは傷ついた様な顔をして去っていった。


一瞬、繋がれた手が離れそうになり、ぎゅっ、と握った。



どうか、今だけは"彼女"で居たい。



そして、今に至る。


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