【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…
「だから言っただろ?」
「ん?」
「あいつ、梨奈のこと好きなんだなって」
そういえばそんなことも言われたな。
私はてっきり茉優のことが好きだと思ってたから…
「やっぱり同年代の方がいい?」
「え、そんなことないよ!」
「俺が小4の時に生まれてるんだよな、そう考えたら」
頭の中に小学4年生のランドセルを背負った男の子と、まだ産声あげて間もない女の子が浮かんできた。
…うん、すごい年の差。
でも。
あそこで仲睦まじそうに話してるおじいちゃんとおばあちゃんは?
一体何歳なんだろ?
「きっとおじいちゃんやおばあちゃんに近付けば近付くほど気にならなくなってくるんじゃない?」
「そうだな…
俺は何だかプロポーズを受けてるみたいだよ」
「…はっ、え…いや、そういうつもりじゃ…」
言われてみれば…!
ものすごく恥ずかしいことを口走った気が…!
「そんなに焦んなよ、わかってるから」
ベンチに腰掛けながら頭をぽんぽんと撫でられるので、私も康介の肩に身を預けた。