【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…


「何考えてたの?」

「んー昔のこと…かな」





あんなこともあったな、とふと感慨にふけっている今の私の左手薬指にはキラリと光る指輪が存在感を放つ。





「パパですよーわかるかな?」





その声に反応したのか私の腕の中にいるこの子が少し微笑む。





「ふふ。わかってる、って」





生まれてきてくれた新しい生命。

私たちの可愛い赤ちゃん。





「梨奈がこの状態のとき、俺は小4だったわけか」

「まだそんなこと言ってるの?」





少し可笑しくなって笑いがこぼれる。





「だってあの時は本当にショックで…」

「もういいじゃない。それより…写真撮ろうよ!茉優と鈴木に送れって言われたの忘れてた」

「それなら看護師さん呼んでくるな」

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