【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…
「…先生っ!」
「あぁ。井上さん、来てくれたんだ!ありがとね」
先生が私のことを"井上さん"と呼ぶとき。
それは決まって誰かがいるとき。
「あらぁ、蒼汰の学校の生徒さん?
お見舞いに来てくれてありがとうね」
「い、いえ…
クラスのみんなも心配してたので」
飯島先生のお母さんは
「そう…
邪魔しちゃ悪いかしら?私少し出てくるわね」
そう言って病室を出て行った。
「先生…大丈夫なの?」
「ごめんね、心配かけて」
先生に抱きつくような形で心臓に耳をあてる。
ちゃんと、聞こえる。
ちゃんと、暖かい。
…ちゃんと、ここにいる。