【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…
気付けば手紙を握りしめたまま教室を飛び出して、先生が入院している病院の前まで来ていた。
忘れるなんてできるわけないよ…!
私の中で先生はいつの間にか大きな存在になってるんだよ、どうしてわかってくれないの!
それにもう私に会えないかもなんて…
一体どういうことなの…?
先生の病室は…
「……え?」
鼻をすする先生のお母さんと、ベッドに横たわる先生。
「…先生…?」
声をかけてもピクリとも動かない。
「…夏未ちゃん?!」
泣き腫らした顔のお母さんが私に抱きつく。
「もうちょっと前だったら蒼汰は、蒼汰は…!」
お母さんの手がどんどん強くなって、息苦しく感じるものの、私の視線は穏やかに眠る先生の顔を捉えて離さなかった。