【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…
「失礼します…」
授業の実験で使うのか、薬品の匂いで包まれた理科準備室。
そこに人らしき気配は感じられない。
…先生、まだ来てないのかな?
生徒1人だけでこんなところに居ていいの?
ちょっとした疑問が不安に変わる。
大丈夫、誰かに聞かれたら中安先生に呼ばれたって言えばいいもんね。
そう、自分に言い聞かせはするものの不安は消えはしなかった。
──ガチャ
「……!」
突然開かれたドアに心臓がびくりと縮こまる。
おまけに逆光で入ってきた人が誰かわからない。
「あ、あの……!」