【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…


「失礼します…」





授業の実験で使うのか、薬品の匂いで包まれた理科準備室。

そこに人らしき気配は感じられない。



…先生、まだ来てないのかな?

生徒1人だけでこんなところに居ていいの?



ちょっとした疑問が不安に変わる。


大丈夫、誰かに聞かれたら中安先生に呼ばれたって言えばいいもんね。


そう、自分に言い聞かせはするものの不安は消えはしなかった。




──ガチャ





「……!」





突然開かれたドアに心臓がびくりと縮こまる。


おまけに逆光で入ってきた人が誰かわからない。





「あ、あの……!」


< 7 / 127 >

この作品をシェア

pagetop