【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…
「夕陽が目に染みる…」
しわくちゃになった手。
白く染まった髪。
「もうすっかりおばあちゃんだわ」
これまでの人生…
辛いことも悲しいことも、嬉しいことも楽しいことも、たくさんあった。
そんな時、いつも思ってたことがある。
ここに先生がいてくれてたらな。
先生なら何て言ったかな。
やっぱり私の頭の中は先生でいっぱいだった。
…ねぇ、先生。あの日みたいに夕陽が綺麗だよ。
「そうだね」
「…っ?!」
聞き間違えるはずがない。
後ろから先生の声がする。
「夏未。よく頑張ったね、僕との約束もよく守ってくれたね」
「先生…!」
今度はちゃんと触れられる。
大好きな先生。私の大事な人。
「僕も約束通り、夏未のことを迎えに来たよ」
差し出された手を取る。
手のしわも、髪の毛も、肌のハリも…
高校生の時分に戻る。
私の恋は高校生の時のままで止まっていて、それがまた動き出す。
何度でも私は貴方に恋をする。
これからはずっとずっと貴方の隣に…
【ただ傍にいたいだけ】 Fin......?