【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…
「ごめんね、遅くなっちゃって」
声から判断するに、入ってきたのは中安先生だった。
「さっき僕が入ってきたとき何か言った?」
言いかけた私の言葉を気にする先生に、ぶんぶんと首を横に振って答える。
「そ、そんなことより…
話って何ですか?」
先生と話せることに言い訳を考えていたことは言いたくなくて、慌てて話題を逸らす。
「あ、そうそう!
昨日、祐也と何かあった?」
「えっ…?」
な、何でそんなこと聞くの?
もしかして…昨日のこと先生に話した…の?
「え、えっと…」
もし、先生にこの気持ちを知られてしまったら…
先生で既婚者。
拒否されてしまうに違いない。
それがわかってるから…この関係をいつまでも、いつまでも続けていたい。