【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…
先生の顔を見れなくて俯いてしまう。
それでもずっとこのままで不審に思われても嫌だから、ちらっと先生の顔を見る。
驚くほどにっこりと優しい笑顔だった。
「昨日ね、祐也の口から相川さんの名前が出たんだよ。
今まで女の子の話なんか聞いたことなかったから嬉しくてね…」
その言葉で少しだけ思考が止まる。
中安くんとは…先生のこと以外喋ってない。
それの何を先生に話したというんだろう。
…疑問しか思い浮かばない。
そんな私に対して目の前のこの人は
一体どういう心変わりなんだろう
とか
ちょっと無口なだけで人は嫌いじゃないと思うんだよなぁ
とか、最終的には
祐也は本当に悪い子じゃないんだよ
なんて私に勧めるみたいに言い始める。