ドラゴンの血を引く騎士は静かに暮らしたい

魔法師団第二部隊隊長 セリ

「そう、知らせてくれてありがとう。あなた達も巻き込まれない様に気を付けて」

そう言うと、肩口に止まっていた青紫の小鳥は飛び立った。


「魔獣が暴れた時も大変だったのに。対人ともなればもっと大変よね。どうしたものかしら。とりあえずアマンダ姉様とイソルガ義兄様は動くし。竜騎士団も来るって言ってた」


お知らせしてくれたのは魔の山の住人魔物の方だ。
彼らが傷を負った時に、たまに居合わせると治していたら良き友人となり、今はなにかあればだれかしら知らせに来てくれる。
対価は白魔法で傷を癒すこと。

さっきの小鳥も弱ってたから、魔法をかけてあげて情報を貰った。


彼らもシビアである故、物事はギブ・アンド・テイク。


実にわかり易く合理的。
その感覚が私もどちらかと言えばシビアである故、マッチして良き友人という形だ。
持ちつ持たれつ。

そんな私が居るからこそ、シルベスターと魔の山は隣接してても不可侵(都合により交流あり)の珍しい関係を築いている。


「さて、私も準備をしないと」


後方待機とはいえ、やることや準備は沢山ある。

怠ってはならない。

「付いてくるのはヴィー兄様の方かな。セイ兄様は忙しいし。とりあえず陛下にも聞きにいかなきゃ」


そう呟くなり魔方陣を展開して、謁見の間前の扉へと移動する。

これが出来るのは私とヴィー兄様とセイ兄様の3人だけ。
下の兄妹3人の魔力値は桁外れだからこそできる。

荒業移動だ。


最近ではすっかり慣れたのか、近衛騎士もいきなり現れても驚かなくなった。

さすがうちの近衛騎士、優秀ね。



「陛下はいらっしゃるかしら?」


見上げて騎士に訊ねると


「はい、いらっしゃいます。セリ様が訪れたらすぐお通しすようにとの事でしたので、お入りになって大丈夫ですよ」


「ありがとう。ご苦労さま」


そうして私はドアをノックして


「魔法師団第二部隊隊長セリです」


「入れ」


その返事を聞いて謁見の間に入った。
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