ドラゴンの血を引く騎士は静かに暮らしたい

『なんとも味気ないものよの。ワシを見ただけで逃げるとは』

「むやみな戦闘も死者も無いのは良いことだ」

ガルドウィンはセイダーの呟きに返事をする。

そこに、魔法で同じ目線まで上がってきたアマリアが現れる。

「これは、アマリア王女。お久しぶりに存じます。騎乗したままで、失礼致します」

ガルドウィンがそう、挨拶をすれば王女はにこやかに微笑んで言った。

「いいえ。こちらこそ急な要請にお答え頂き、感謝致しますわ」

「ガルドウィン、少し休んでいくと良い。竜たちも少しは疲れただろう?」

アマリアと並び、声をかけてくれたのはイソルガ。


「では、その言葉に甘えてそうさせてもらおう」


あっけないほどの国境線の後退にしばし、両国の騎士団は休息することにしたのだった。


竜騎士の到着で、国境付近はいきなり大型生き物に占拠されたが竜は賢いので休むとなると、皆悠然と国境付近で固まった。
自分たちが、そこにいることが牽制になると理解しているからだ。
戦闘に特化しているが、彼らは脳筋では無い。
長生きをする、賢い生き物なのだった。
< 21 / 30 >

この作品をシェア

pagetop