ドラゴンの血を引く騎士は静かに暮らしたい
黒幕の存在あらわる
さて、いったんは引いたもののナジェントがすでに侵略されているとみると、このままでは終わらないとみるべきか……。

ルカとセリが竜と戯れている間に、ガルドウィンとアマリアとイソルガはその後ろで今後についての予測を話し合っていた。

「このまま引き下がるとは思えませんわ。なにかしらの形で進攻してくるでしょう」

そんなアマリアの言葉に男二人は頷く。

「あぁ、ここまでしておいて引くことはないだろう。どうも、きな臭い」

イソルガはそんな風に言い、未だ国境付近への警戒を怠らない。

「あぁ、実はラグーンの宰相直属の暗部がドミレスタの情報収集中だ。そろそろ一報が来てもおかしくないと思うんだが……」

そんな話をしているうちに、休んでいた竜が一斉に空を見上げた。

そこには一体の竜の姿があり、気づけばここに降りてくるところで一気に風が吹きつけてきた。
セリはルカに支えられていた。

「おやおや、皆さまお揃いで。団長閣下に宰相閣下から伝言です。ドミレスタにて魔が復活。敵をつぶして、この政略侵攻を止めよ」

さすがというか、宰相ヒューバートの直属部隊の情報能力は恐ろしい。
そして、なかなかえげつない命令をしてくるものだ。
魔が復活などと、簡単に言ってくれる……。
自国でも、おとぎ話なレベルに昔の話に出てくる国を破滅に導く恐ろしいものではないか。

それは、間違いなく遠い昔に存在し、世界をかく乱させてこの大陸には暗黒の時代をもたらしたとされる魔の存在。

それが復活しているという。
その昔、倒したものが封じたとされる恐ろしい存在だ。

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