ドラゴンの血を引く騎士は静かに暮らしたい

宰相ヒューバート

ルカからの報告を受けて、その資料を持ちそのまままずは宰相であるヒューバートの執務室を目指した。


宰相執務室には近衛騎士が待機している。


「すまない、火急の知らせであるゆえ宰相に面会したいのだが」


「ガルドウィン団長でしたら、すぐにお通しするよう言われております」


そう言って礼を返されたのでこちらも返しドアをノックする。


「竜騎士団団長のガルドウィンです。お目通り願います」



「お入りなさい」


その声に従い扉を開けて中に入る。
相変わらず執務机で書類に埋もれた、銀髪碧眼の穏やかな見た目の美形がサラサラとサインしたり捺印してたりする。


「さて、うちの影部隊からも報告は上がってますがそちらの報告も聞きましょうか」


にこやかでありながら、その目は鋭い。
穏やかなだけでは務まらないのが宰相という役職だ。



「うちの伝令から報告が入った。ドミレスタ帝国がリオレル王国に侵攻、勝利を挙げリオレルをドミレスタ帝国が支配下に置いたと。この後はナイジェル王国とカルバイン王国も侵略されて魔の山向こうはドミレスタ帝国が支配するだろう予測が出ている」


「どうやら、その予測は間違いではありません。ですが、足りませんね……」


「どこがでしょう?」

メガネのブリッジを上げてヒューバートが告げたのは


「ナイジェル侵攻後は魔の山の低地から攻略してシルベスターまで侵攻する計画だそうです。シルベスターの魔法の力が欲しいのでしょう。あそこには、白魔法の最高峰が居られますから」


「あぁ。確か、シルベスター魔法師団第二部隊隊長で、王妹の末姫だとは聞き及んでいる」

「えぇ、彼女は当代きっての白魔法の使い手でしょう。ですからかの国では過保護な程の保護が付いていると聞いてます」
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