ドラゴンの血を引く騎士は静かに暮らしたい

竜騎士団副団長グウェン

宰相執務室での報告を終え、竜騎士団の自分の執務室に戻るとそこには副団長であり、俺の友人でもある副団長のグウェンが居た。


「そろそろお戻りの頃かと思いまして。こちら、追加の報告書になります」


書類を受け取り目を通せば更なる事態の悪化を知らせる報告書であった。


「ナジェントとカルバインにも侵攻中でカルバイン5割、ナジェント8割陥落か・・・・・・」


「ナジェントの接する魔の山は1番接地面が薄く、コチラとあちらが往復できる唯一の通路があります。こちらへの侵略戦争は着々と進んでいると。あとこちら、シルベスターからの援軍要請です」



確かに、申請には侵略の危機に瀕している故に同盟国としてラグーン帝国からの援軍を要請する。

その旨を王立騎士団団長の一の姫で王妹のアマリアのサイン入りで記されている。

「これがここに来たということは、シルベスターの国王陛下からも我が国の皇帝陛下へ援軍要請の親書が来ているはずだな」


「えぇ、先ほど鷹が文を持って飛んできておりました」


「なるほど、ではこちらは直ちに半数の軍備を準備せよ。今日中にシルベスターと魔の山の境に展開して戦力を厚くせねば侵攻は止まらぬだろう」


「私もそう思います。ですので第一から第三までの部隊に進軍準備をさせています」

腹心の部下であり、友でもあるグウェンの行動の速さに納得しつつ労いの言葉をかける。

「さすがはグウェンだな」

そして、ひとつ頷くと俺は自身も出陣の準備に入る。

「今回はオレが出よう。グウェンは留守のこちらの守りを頼む」


「分かりました」


こうして俺と副団長グウェンの読みと行動の速さによって、速やかに同盟国を守り支援するための援軍は整う。
その日の午後には竜騎士団総勢15名が首都を出て、シルベスターと魔の山の境の最前線へと向かった。
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