君はいつも、心の中に。
溢れた想い
幸「ねぇ叶、僕、叶に会えて本当に嬉しかった。」

何分たったか分からない。

久しぶりに感じる沈黙を破ったのは、幸の幸せそうな声だった。

『え……?』

幸「僕、本当は諦めてたんだ。

誰とも友達になったことがない、ほとんど誰とも顔を合わせたことがない僕は、ずっと溜息を漏らす毎日だった。

ありきたりな毎日。

読書をするしかない毎日。

飽き飽きしてた。
でもそんな時、叶に出会った。」


語り出すように、幸は呟き始めた。

幸「はじめは不安だった。けど、すぐに打ち解けられて。叶とすごく気があった。

溜息なんて漏らさなくなって、明日に希望が見えて。楽しみだって、明日が楽しみだって思えるようになったんだ。

叶は、僕にとってかけがえのない子だよ。出会ってくれてありがとう。」

凄く、嬉しかった。

『っ……!…わ、私もっ、同じなの…。

こちらこそ、私に出会ってくれてありがとう。

モノクロだった世界から、
カラフルな世界に抜け出すことが出来た。

凄く、凄く幸せだよ。』


嬉しくて、嬉しくて、1粒、涙がこぼれた。
< 15 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop