小さな奇跡。
「へ?」
さかのぼること…15分前…
「で、だな?
それとは別にもうひとつ。
俺の知り合いの監督が人を探してて、山田さんをどうかと提案したんだ!そしたら是非って言ってくれて!どうだ?」
「あ、あの。
それは、どんな内容で?」
「こっちは!ちょっと難しくてね?
Dream Smileをメインにした映画なんだが…
新メンバーとして2人の女の子が入ってきていじめを受ける役…」
「え?」
まさかだった…
今まであたしもいじめられてきた…
努力すればむくわれる…
いじめられてきた女の子役…
あたしの事を言っているかのようだった…
体験してきたあたしなら伝えられるかもしれない…
いや、
体験してきたからこそ、伝えたい!
「あたしなんかでよければ!
是非お願いします!!!
ふたつとも、是非やらせて下さい!
お願いします!!!」
「そー言ってくれると信じてたよ!
ありがとうね!
では、また後日連絡するから待っててね!」
「はい!
ありがとうございました!」
あたしの努力がむくわれた瞬間だった!
ただそれと同時に…
複雑な気持ちになった…
好きだった…隼人くんと付き合えたらな?とか。
コンサートいくのたのしみだとか。
全てができなくなる…
あたしの存在が世の中に出れば、
コンサートに行くことや、隼人くんと付き合うことすら無理になる…
夢を叶えるにあたって…
捨てなくては行けない気持ちも出てきてしまった…
「隼人くん大好きでした…
いつかあなたの彼女になってみたいって、思ってました…
共演よろしくお願いします。」
あたしは、小さくはいた。