大切な人
4
バレンタイン当日。
「バレンタインに浮かれず、勉強しろよー」
担任の声に、はーいと、ぱらぱら返事が返る。
「解散っ」
休み時間や放課後の時間に、チョコレートがあちらへこちらへと渡り歩く。
大悟は男女共に囲まれ談笑し、机の中からはチョコレートの包みがあふれていた。
「大悟くん、チョコあげるー」
「おー、サンキュー」
クラスメイトの女子が差し出したチョコレートを明るく貰い受ける大悟。
そんな大悟に友人がドアのそばから呼びかけた。
「大悟―、ご指名だぞー」
ドアの外にはロングヘアの女生徒が一人。
大悟と目があったのだろう、ぺこりとおじぎをする。
大悟は立ち上がり、ドアの外で何事かを話し、廊下へと消えていった。
「ありゃ本命だな」
「すっげ美人―」
大悟の友人たちが訳知り顔で品評する。
砂名は、一連の出来事に耳を澄ませながら、カバンの整理をする。
こんなことは毎年のこと。
同じクラスの時はいつも見ていたじゃない。
そう自分に言い聞かせる。
カバンの中には、ピンク色の包装紙に包まれたチョコレート。
教科書や辞書の間にちょんと収まっている。
それを取り出す勇気が出ず、周りの生徒たちが下校をしていなくなっても、砂名は一人教室でカバンの中を見つめていた。
(勇気を出して、砂名)
自分の心にはっぱをかける。
(でも離れたって幼なじみという関係はなくならないでしょ。わざわざ関係を壊してまで伝えてどうするの。気まずくなるだけじゃない)
心の中のおしゃべりが大きくなる。
その時、ガラガラとドアのあく音がした。
「砂名っ」
聞きなれた大悟の声だ。
はっとして、顔をあげるといつもと変わりない大悟がそこにいた。
「一緒に帰ろーぜ」
「う、うん」
あわてて、カバンを閉じ、立ち上がった。
「バレンタインに浮かれず、勉強しろよー」
担任の声に、はーいと、ぱらぱら返事が返る。
「解散っ」
休み時間や放課後の時間に、チョコレートがあちらへこちらへと渡り歩く。
大悟は男女共に囲まれ談笑し、机の中からはチョコレートの包みがあふれていた。
「大悟くん、チョコあげるー」
「おー、サンキュー」
クラスメイトの女子が差し出したチョコレートを明るく貰い受ける大悟。
そんな大悟に友人がドアのそばから呼びかけた。
「大悟―、ご指名だぞー」
ドアの外にはロングヘアの女生徒が一人。
大悟と目があったのだろう、ぺこりとおじぎをする。
大悟は立ち上がり、ドアの外で何事かを話し、廊下へと消えていった。
「ありゃ本命だな」
「すっげ美人―」
大悟の友人たちが訳知り顔で品評する。
砂名は、一連の出来事に耳を澄ませながら、カバンの整理をする。
こんなことは毎年のこと。
同じクラスの時はいつも見ていたじゃない。
そう自分に言い聞かせる。
カバンの中には、ピンク色の包装紙に包まれたチョコレート。
教科書や辞書の間にちょんと収まっている。
それを取り出す勇気が出ず、周りの生徒たちが下校をしていなくなっても、砂名は一人教室でカバンの中を見つめていた。
(勇気を出して、砂名)
自分の心にはっぱをかける。
(でも離れたって幼なじみという関係はなくならないでしょ。わざわざ関係を壊してまで伝えてどうするの。気まずくなるだけじゃない)
心の中のおしゃべりが大きくなる。
その時、ガラガラとドアのあく音がした。
「砂名っ」
聞きなれた大悟の声だ。
はっとして、顔をあげるといつもと変わりない大悟がそこにいた。
「一緒に帰ろーぜ」
「う、うん」
あわてて、カバンを閉じ、立ち上がった。