愛を乞う
信じてもいいの?
胸への口づけくらいで意識を飛ばした雪に驚いた様子の翔悟は
「ウブ過ぎだろ…。」
と苦笑いする。
翌朝、目覚めたら、藤城様のベッド。
昨夜のことを思い出して1人赤面する。
藤城様はいない。
胸の辺りには赤い印。
途中で意識を飛ばしたため、その後のことはわからないが、体に異変はない。
そのまま寝かせてくれたのだと少しホッとした。
いつもと同じ様に仕事をする。
藤城様はなにかと側に来て腰を抱いたり、首筋を触ったりする。その度にドキドキして辛い。
廊下で拭き掃除をしていると、空き部屋に連れ込まれ、押し倒した状態で胸を弄る。
「いや、ん。離して。」
「駄目だ!お前はこういうことに慣れないといけない。あんなんで意識を飛ばされたら俺が辛いだろう?毎日少しずつ触ってやる。」
とまた、胸に顔を埋める。
ま、毎日!毎日あんな、恥ずかしい思いをさせられるの?と不安と期待が折まざる。
藤城様には私に惚れてると言われた。
私も藤城様が気になっている。
でも…。私なんかが好きになってもいいのだろうか?思いを受け止めてくれるのだろうか?
「何を考える?俺に集中しろよ!」
いや、あなたのことです!とは言えず。
意識を飛ばす寸前に離された。
そんなことが続く。
奈緒と一緒に働けて、とても楽しい。
でも、藤城様が近くに来ると苦しくて、ドキドキして、逃げ出したくなるくせについ、目で藤城様を追ってしまう。
はあ〜。完全に好きになってるよな。これ。
どうしよう。
藤城様には毎日どこかしら触られて、少しづつ慣れている自分がいる。
最初は触られると飛び上がる程に驚いていたけど、最近はドキドキはするけど、驚くことはないな。
慣れって恐ろしい…。
慣れたらその先があるのかしら?
あの、逞しい胸に抱かれることがあるのだろうか?
ため息が漏れる。