愛を乞う
翌日、約束の時間の五分前に会社に到着した。
受付で名前を言うと
「連絡いただいた鈴木雪さんですね。こちらへどうぞ。」
と応接室に通された。そこには上品な女性がいた。
「ようこそ。初めまして。私は社長の加藤玲子です。お座り下さいな。」
とソファに腰掛けるように促されたので、失礼のないように一礼して腰掛けた。
「鈴木雪さんですね。昨日はわざわざのお電話ありがとうございます。家政婦さんにご希望でよろしかったですか?」
「はい!経験はありませんが、一生懸命にやらせていただいきたいと思っています!」
と言うとにっこり笑顔が返ってきた。
「早速ですが、履歴書見せていただけますか?」
社長はそう言うと私から履歴書を受け取る。
熟読してから
「雪さん、我が社への応募の動機をお聞かせ願えますか?」と。
「はい!私は孤児院で育ち、高校までは行かせていただきました。卒業後、就職したかったのですが、この、就職氷河期ということと、高卒ということもあり、なかなか就職できずにアルバイトで生計を立てています。
また、私は人様のお世話が好きで、喜んでいただけることが何よりも嬉しいのです。
家政婦は頭になかったのですが、情報誌で御社を見て、家政婦は私には合っているのではないかと思いまして。情報誌で見た御社に応募させていただきたした。」
と言った。