先生。あなたはバカですか?【番外編SS集】〜君は今ここにいる〜
ちっ。
本気で顔押し退けてくんじゃねーよ。
「じゃあ、呼んで」
「は?」
「俺の名前。呼べよ。そしたら止めてやる」
「…!!!!」
真っ赤になって、目が泳ぎ始める翠。
だから、そういう顔だっつの。
俺のスイッチ入れるのは。
「早く」
「い、いやですっ」
「ふーん?じゃあ勿体ないけど、この食材は無駄になっちまうな」
「え?」
困惑した様子で俺を見上げる翠。
「だってほら。このままだと朝まで離してやれそうにねーし?」
彼女の耳もとでそう囁くと、もう赤いんだか、青いんだか、どっちか分からない彼女の顔色が面白くて。
「さ。寝室いこーか。翠ちゃん?」
「まままままま待ってっっ!!待ってください!!!」
わざとらしく「ん?」と眉を上げれば、彼女は観念した様子で俺に恨めしい目を向けてくる。
「……し……っしょ、翔太……さん?」
「……っ」
あーもう。
「本当凄いわ。お前」
「ひゃっ…!」
口もとが緩んで赤くなる顔を見られたくなくて、彼女の視界を手のひらで覆う。