先生。あなたはバカですか?【番外編SS集】〜君は今ここにいる〜
入学式の日、俺に一目惚れしたとか言う宮原は、それからというもの3年間、ご主人様に付き纏う子犬さながら猛アタックをしかけてくる。
始めのうちは、所詮子供が恋に恋してるだけだと思って軽くあしらってた。
そのうち他にいいヤツができて、年相応の高校生らしい恋愛を楽しむんだろうって。
だけど、かれこれ3年間。もう卒業も目前だってのに、この子は未だにこうして俺だけを見てる。
「……あのさ、宮原」
「は、はいぃ!」
何でそんな期待を込めた目ができるかな…。
宮原はまるで「ご飯だよ」って言われた時の犬みたいに目を輝かせて俺を見つめてくる。
懲りないヤツ。
もうかれこれ、3年もあしらわれ続けてるんだぞ?
それなのに宮原は、“いいよ。付き合おっか”って……俺がそう言うのを期待してる。
言うわけないじゃん。そんなこと。
いい加減懲りればいいのに。
「あてっ!」
俺を見上げる宮原の額にデコピンを一発お見舞して、痛がる宮原を無視して準備室の扉の方へ。
ドアノブを回して扉を大きく開放すると。
「出口はこちらです。」
と言って顎でしゃくった。