先生。あなたはバカですか?【番外編SS集】〜君は今ここにいる〜

「見送って…やらないんですか?先生は」


「なんだよ急に。それは森田の役目だろ?」


「生田さんは……っ…、いや…なんでもありません」


生田さんは、あなたの事が今も好きなんですよ。


あの華奢な体で、あなたに伝えたい想いをいっぱいに抱えてる。


あなたに会えなかった三年間、つもりに積もり、今にもこぼれ落ちそうな想いをどうしようもできずにいる。


そう俺が伝えたところで、この人は何もかも忘れてるんだ。



……なんか、腹が立ってくるな。



「俺、昔からあんたの事が嫌いです」


「あ?」


「生徒に手を出した挙句、手放して、傷付けて……」


コーヒーカップの中身が揺れる。


抑えられない苛立ちで、俺の手が震えてるんだ。



「どうしようもない事情だったのかもしれないけど、手放さなきゃいけない日が来ると分かってて、何であの人に近付いたんですか……。あんたがいなければ、俺が……」



俺があの人を幸せにできたのに……?


……本当に?



俺は、この人を想い続ける生田さんをこの三年間ずっと側で見続けてきた。
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