君だけを追って
1 この日の朝を
「麗ー .早く起きなさーい .」

いつもの調子で言ってくる母に私は

「もう 起きてるから」

と返した .

加宮 麗 (カミヤ レイ)12歳 .

もう少しで16歳になる今日からの高校1年生 .

母が部屋の前まで叫びながら起こしに来るのは小学生の頃からだ .

もう高校生なんだから起こしにこなくていいのに .

まぁ それはどうでもいいんだけどね .

恋愛経験特になし .

特別モテる訳でもない .

頭脳は人並みで平均より少し上くらいかな .

友達だって普通にいるし .

そこら辺にいる凡人 .

高校に進学したのは行く宛がないからであって、好きで行った訳ではない .

高校行くぐらいなら就職したかったけどな .

まぁ でも 現代社会では高卒が普通らしいし .

そう考えると大したことないんだけどね .

「...いッ!!...麗ッ!!遅刻するわよ!!」

そんなことを考えているといつの間にかお母さんが部屋に入って来ていた .

「分かったよ、行ってくるよ」

そう返すとお母さんは「後から式に行くからね」と言って部屋を出ていった .

「高校生か...」

今までとは違う景色や生活を期待して、私も部屋から出た.

部屋を出ると待っていたのはお父さんだった.

珍しいなと思い

「何してるの?」

と尋ねるた.

「麗、高校入学おめでとう」

と言ってお父さんは仕事に行ってしまった.

普段、あまりお父さんと話す機会がないから私はすごく嬉しかった.

朝御飯を食べて、「行ってきます」と玄関を開けるとそこにいたのは私の親友.

「おそーい!」と指摘されて慌てて「ごめん!」と返す.

これは中学の時から変わらない.

彼女は宮祢 佳児 <ミヤネ カコ>.

中学の時に出会って以降、ずっと一緒に登校している.

高校が同じ場所だと決まった時はもう飛びまくって喜んだ.
< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop