溺甘スイートルーム～ホテル御曹司の独占愛～

「澪。そばにいてくれてありがとう」


そんなセリフ、反則だ。
『離して』と言えなくなってしまった。

それからすぐに彼の手の動きが止まったかと思ったら、彼は眠りに落ちていた。
緊張してたのに、拍子抜けだ。

疲れてるのかな？

いろんなことがあって、精神的にもヘトヘトなはずだ。

彼の無防備な寝顔を見ていると、心が穏やかになっていく。
せめて今だけでいい。難しいしがらみを一切忘れて、ゆっくり休んでほしい。

私をアタフタさせてばかりの彼だけど、きっと根は真面目な人だ。
私が思っている以上に、アルカンシエルの将来をきちんと考えているに違いない。

そんなことを考えていると、大成さんの規則正しい呼吸音に誘われるように私の瞼も下りてきて、眠ってしまった。