溺甘スイートルーム～ホテル御曹司の独占愛～
「澪、悪いんだけど、ちょっと先に行く」


さっきまで笑っていた彼は、真剣な表情に戻る。


「は、はい」


突然なんだろうと思っていると「中野さんと話があるんだ」と言われ、納得した。
私はぐっすり眠ってしまったけれど、もしかして昨晩も夜中に仕事をしていたのかもしれない。

それからすぐにスーツに着替えてきた大成さんは、中野さんが迎えに来てるからとバタバタと出ていった。

ハウスキーパーとして出勤するときは、制服があるのでラフな格好だ。
しかし、やはり彼にはスーツが似合う。


こうして陰で動いている大成さんには、ハウスキーパーとしてではなく、トップでアルカンシエルを支えてほしい。
そんな思いを強くした。


ミーティングが始まっても、大成さんは現れなかった。
チーフが「遅刻と聞いています」と言っていたけど、休みかもしれない。
正確には、別の部署で働いているのだけど。
< 188 / 363 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop