溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
彼の目は鋭い。

そのとき、大成さんのスマホが震えだした。
彼は内ポケットからそれを取り出し、画面を見て顔をしかめる。


「中野さんが呼んでる。行かないと……」


そう言いながらも彼の視線は私の目を捉える。


「澪。俺、しばらく中野さんの家に泊めてもらう」


大成さんの言葉に目を瞠る。
それは、私とは一緒に暮らせないということ?

途端に苦しくなり、息がうまく吸えなくなる。


「でも、俺は必ずまた澪を捕まえに行く」


しかし、意外な彼の強い言葉にハッとする。

待っていても、いいの?

だけど、あのマンションは彼のものだ。


「そんな……私が出ていきます」


自分のマンションは解約してしまったので行くところがないとはいえ、数日なら百花にお願いできる。


「ダメだ。行かないでくれ」


大成さんはそう言いながら、私をフワッと抱き寄せる。
< 269 / 363 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop