溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「澪もつける?」

「え、遠慮します!」


彼が鍛えられた体を私にグイッと差し出すので、しどろもどろになってしまう。


「なーんだ。この体は澪の物なのに」


もー、ホント、恥ずかしいからよして!
私が顔をそむけると、彼はにんまりと笑い、耳元に口を寄せる。


「もう、離さないからな」


そして囁かれた言葉に、一層頬を赤らめた。



始まりはただの偶然だった。

御曹司である彼と恋に落ちることなんてありえないと思っていたのに……私はまんまと夢中になってしまった。
心に傷を負いながら、必死に自分の背負った運命に立ち向かおうとしている彼が、まぶしかったからだ。

そんな彼に、ピアノを奏でる楽しさまで取り戻してもらえて……そしてなにより、深く愛され、シンデレラになった気分だ。

これから私は、彼と幸せになる努力をしたい。
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