溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
いまだハウスキーパーの仕事を続けている彼女は、時折二十二時までの勤務があるが、今日は定時で帰れているはずだ。

もしかして体調でも崩して臥せっているのか?

そんな心配が頭をよぎり、俺は慌ててリビングに足を進めた。
そして、勢いよくドアを開けると……。

――パーン!


「うわっ、なんだ?」


すこぶる大きな乾いた音がして、思わず声が出る。


「ふふふ、驚いた?」


澪の声が聞こえてきたので目を凝らすと、少し暗闇に慣れてきたせいで、彼女が立っているのがうっすらとわかった。


「なんだよ。びっくりさせるなよ。倒れてるかと思って心配したんだぞ?」


さっきの音はなんなんだ?
とりあえず照明をつけよう。

いつもテーブルの上に置いてあるリモコンを手探りで探してスイッチを入れると、唖然とした。

クラッカーを手にした澪が笑っていたからだ。
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