溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「こんなことをさせるつもりじゃなかったんだけど……」

「大丈夫です。得意分野ですから」


私が返すと、大成さんは「そうだな」と微笑み、冷蔵庫を開けた。


「なにか飲む? コーヒーか紅茶か、ビールか……」


彼は喉が渇いているのか、ミネラルウォーターのペットボトルを開けながら聞いてくれる。


「あっ、紅茶をいただければ……。私やりますよ?」


カップを洗い終え手を拭いたあとそう言った。


「それじゃ、お願い。ティパックでいい? 俺はビールにしようかな」

「いえ、大成さんも紅茶です」

「は?」


再び冷蔵庫を開けようとしていた彼の手を止める。


「飲みすぎです」

「あー、その通りでございます」


彼がわざとらしくしょげてみせるので、おかしくて白い歯がこぼれる。

そんな彼の横でティーバッグの紅茶を入れ始めた。


「なにしてるんだ?」


ソーサーでカップに蓋をすると、彼が首をひねっている。
< 58 / 363 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop