溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「蒸らしてるんですよ。こうすると香りも逃げません」

「へぇ、知らなかった」

「座ってていただいても」


ずっとべったり隣にいるのでそう告げた。


「澪の隣にいたいから」

「えっ、あっ……」


この人、たらし?
いちいちドキドキするような言動に、ついていけない。と思ったのに……。


「本当はすごく不安なんだ。自分でもとんでもないことをやらかしたとわかってる。でも、貫く覚悟はある。だけど、今は誰かにそばにいてほしい」


パーティであんなに強気な発言をした人とは思えない。
しかし、その気持ちがわからないではない。
大勢の重鎮が集まるあの場所で、期待された意見とは真逆のことを口走るには、とてつもない勇気が必要だったはずだ。

「私でよければ、お手伝いしますから」

「もちろん、澪は巻き込みまくるつもり」

「え……」


もう巻き込まれてしまっているけど、改めて言われると腰が引ける。
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