溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「あれ、そのつもりじゃないの?」


彼はニヤリと笑う。


「えっと、ほどほどに……」


とはいえ、思いがけず彼の弱い一面を見てしまったからか、断る選択肢がなくなってしまった。


それから紅茶をソファに並んで飲み、お腹が空いたという彼の提案でピザのデリバリーを頼んだ。

今日、出会ったばかりの人と、向き合って食事をとっているのが不思議すぎる。
それなのに、別に緊張するというわけでもないのは、一生分の緊張をあのパーティでしたあとだからかもしれない。


彼はピザをどんどん口に運ぶ。


「そんなにお腹減ってたんですか?」

「あぁ。食べるの忘れてたから」


もしかして、ずっと食べてなかったの?
空腹にワインなんて、そりゃあ酔うわけだ。

でも、これだけ食べられるということは、気持ちが軽くなったということかもしれない。
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