なんでもない、小さなこと
みんなに連絡を入れ終わると、ちょうど下りる駅になる。


ええと、定期定期っと。


外はすっかり薄暗い。


帰り道の電車に揺られる時間が好きだ。


茜色の大きな夕日が沈んでいくのが好きだ。


たまの寄り道が好きだ。


みんなと連絡するのが好きだ。


母は大抵一番早く帰ってるから、一番早く連絡する。

父は大抵職場だから、返事が来るのをのんびり待つ。

姉は大抵私より早いけど行き違うと大変だから、今どこ? から聞く。

弟は大抵すごく返信が早いから、私も負けじと早く打つ。


ほんの少しの時間だけど。

たくさん言葉を交わすわけじゃないけど。

何か特別なことを言うわけでもないけど。


私は電車の中で、電話じゃなくて、スタンプじゃなくて、文字を打つのが好きだ。
< 3 / 9 >

この作品をシェア

pagetop