Want*You
差し出された大きな手に私も手を差し出して指の絡むままに手を繋いだ。
こうして脱、彼氏いない歴=年齢を果たしたわけだったのですが……
彼には何やら秘密があったことを……
この時の私は全く知らなかった…────────
*
「杏奈っ!
お昼にしよー?」
「怜くんっ!」
お昼休みを告げるチャイムが鳴って、ひょこっと教室のドアから顔を覗かせた怜くん。
クラスは別々のため付き合ってから毎日怜くんは私の教室までわざわざ来てくれる。
一番端の廊下側の席の私はクラス中の女の子の痛々しい視線を受け流しつつ教室を出て行く。
あの学校のアイドル的存在の怜くんの彼女ということで。
色々言われたりしたけど気にしていなかったら自然と無くなっていった。
むしろ色々言いたい気持ちは分からなくもないから私はひたすら黙っていた。
「あ、あの……怜くん?」
「ん?」
「き、今日さ……
あたし……怜くんの分までお弁当……
作ったんだけどその、よかったら……」
「えっ!
いいのっ?」
重くないだろうか……?
付き合ってまだ3日でいきなりお弁当とか……
なんて考えつつも結局作ってきてしまった。
怜くん、いつも購買でお昼買ってたし……。
今みたいに喜んでくれたからいっか……?
「味の保証は……出来ないけど……」
「杏奈が作ってくれたその気持ちだけで充分だよ。
いただきますっ」
ベンチに座り、太腿の上に置いたお弁当を広げて両手を合わせた怜くん。
一口、淡い黄色の卵焼きをパクリ。
私の脈拍はピークに。
大丈夫かな……
一応味見は何回もして、むしろ味見し過ぎて卵焼き無くなりかけたけど……
「うん。
すっごい美味しい!」
怜くんは終始本当に美味しそうな顔をして全部食べてくれた。