日向 HIMUKA
謎のはじまり
(一) 謎のはじまり

寒さもそろそろ骨身にしみる十二月後半。
ぼくは、かじかんだ手をときどき息であたためながら、
背中を丸めてとぼとぼと家路についていた。

やっと二学期が終わった。

期末試験という難題もなんとか切り抜け、
一学期に比べて特に代わり映えしない通信簿を持って、
ぼくは、迫り来る冬休みに胸をときめかせていた。

夏休みとはまた違った期待感を、胸いっぱいにふくらませて。

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