日向 HIMUKA
冬休みには、クリスマスに正月とビッグイベントが二つもある。

けれど、茶色いマンションの手前に広がるゆるやかな丘と、
そのわきをくねくねと走っている遊歩道は、
すっかり気分の高揚したぼくの心とは裏腹に、
何とも辛気臭い風情をただよわせていた。

濃い緑を競うように誇らせていた木々たちは、
秋の風とともにその葉を落とし、
同じく色あせた大地を覆っている。

可憐な花が瑞々しく花びらを揺らしていた植え込みも、
静かで落ち着いた様子にすっかり衣替えしてしまった。

そんな合間を容赦なくふきつける北風に、
ぼくは派手なくしゃみを一発ぶちまけた。

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