日向 HIMUKA
そういう話は、よくわからないけれど、
ぼくは、ぼくのわかる範囲で
とりあえず意見を言ってみた。

「霊的なものが原因じゃないんじゃないの?」

 けれども、
そんなぼくの浅い見解は、まずはずれる。

「いや、それならわしを頼るということは考えにくいな。
いくら頼りないといっても
お前という隣人がいるわけだしな」

頼りなくて悪かったな。

「まさか……」

 ぼくの頭に、よからぬ思いがよぎった。

「自殺……なんて考えてないよな」

「当たり前じゃ!」

日向が急に大声をあげたもんだから、
ぼくは後ろにひっくりかえりそうになった。

「あの子はそんなに愚かじゃなかろうが。
自殺して救われることなど決してないのだからな」

日向は、
まるで自殺したことがあるみたいな口調で言いきった。

「そう……だよな。
大丈夫だね、その点に関しては」

日向は、ああ、とうなずいてから言った。

「とにかく、ことの詳細をはっきりさせんことには、
手も足も出せんな。
お前、ミカから目を話すんじゃないぞ」

魔女ににらまれた召使いのように、
ぼくはただうなずいた。


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