日向 HIMUKA
ミカは、うつむいたまま小さくうなずいた。

誕生日や、クリスマスのプレゼントなんて、
無条件に、当たり前に、
どこの家の子でももらえるもんだと思ってた。

ぼくは、
昨日のミカの異様なはしゃぎぶりを思い出した。

だからあんなにうれしそうだったんだ。
小さい子供みたいに
無邪気に喜んでた昨日のミカを思い出して、
ちくんと胸が痛くなった。

広くてきれいな部屋が、急に冷たい感じに見える。

引っ越してきたばかりの頃のぼくの家と、
どこか同じ匂いがした。

「誕生日っていつなの?」

ぼくだって知らなかったミカの誕生日。
それが何だかうしろめたい。

「十二月二十五日。クリスマスよ。
ロマンチックでしょ」

「すごいっ」

とぼくは、反射的に思ってしまう。

正月とクリスマスと誕生日が、
そんな短い間にいっぺんに来るなんて!

ぼくだったら飛び上がって喜ぶに違いない。
だってプレゼントが一度に二つももらえるなんて、

そうあることじゃないから。
でもぼくはすぐに思い出した。ミカにはそうじゃないんだ。

ミカは、さえない表情を浮かべて目をふせた。

< 24 / 85 >

この作品をシェア

pagetop