日向 HIMUKA
「ごめん、知らなかった」

「ううん」

一人ぼっちのクリスマス。
プレゼントのない誕生日。

いくら誕生日とクリスマスがダブルで来たって、
ミカにとっては意味のないことなんだ。

いつもごったがえしたぼくの家。
何かと干渉してくる母さん。

でも退屈だけはしない。
口うるさい母さんの小言も、
ありがたいことなのかも知れない。

ふいに、アイスクリームのかたまりが歯にしみて、
ぼくは大げさに顔をしかめ、
ミカはそんなぼくを見て笑った。

その笑顔に、
気まずくなった空気がなごんだような気がして、
ぼくはきりだした。

「さっきの話だけどさ、どういうことなんだよ」

「どうって?」

「死ぬとかなんとか」

「ああ、死神ね」

明日学校でね、みたいな軽い口調でミカが言う。

朝見せた思いつめた表情とはまるで違うその様子は、
つとめて平静を装っているように
見えなくもなかった。

「ちゃんと話せよ。ちっともわけわかんないよ」

「実はね」

ミカは、待ってましたとばかりに声をおとして体をかがめた。

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