日向 HIMUKA
捕まるまいと必死で逃げるミカ。
でもピエロはまだまだあきらめない。

「そうしたら糸みたいなものが見えてきて、私は、それを頼りに逃げるの」

静かな口調でミカが言う。

「糸?何それ」

「わからないけど、私の頭から銀色の糸がのびてるの。
それがつながってる方へ行こうと思ったら
いつもそこで目が覚めるの」

話し終えたミカは、
さっきとは打ってかわって、
うなだれたようにうつむいてしまった。

でも、
そんなミカの心中を理解しきれないぼくは、
悪いけど拍子ぬけしてしまった。

「それだけ?」

「それだけよ」

 むっとしたようにミカが言った。

「何でそいつが死神なんだよ」

「だって私を連れていこうとするもの」

「だからって何で死神につながるんだ?」

「そうなのっ!」

 ミカは、やけに確信をもって言った。

「だって足がなかったんだから」

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