日向 HIMUKA
ぼくは、
かろうじてひねり出した反論で、
ミカを慰めようとした。

「だってお前、殺したって死にそうにないぞ」

「どういう意味よ」

その時ぼくは、奇妙な気配を感じた。

ぼくたちは、
L字のソファにそれぞれ背をもたせかけて座っている。
今この家にはぼくたち以外には誰もいない。

なのに……。

ぼくのうなじを何かがかすめた。

ぼくは、
体中の毛穴が、一瞬でひきしまったような感覚に襲われた。

次に、全身の血圧が一気に下がっていく。

頭は真っ白、体は硬直。

ぼくは、ひきつった顔をミカにむけた。

「どうしたの?ハルキくん」

ミカには何も見えてないらしい。

ぼくの後ろに何かいるはずなのに。
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