日向 HIMUKA
その夜は、何だか眠れなかった。

気の強いミカの以外な一面。
活発そうな笑顔の裏の寂しげな顔。
普段見せるあの気の強さは本物だろうか。
ここへ来たころの自分とミカが、重なって見える。 

自分から心を開こうとしなかったぼく。
あれは誰かに自分をさらして
拒否されるのが怖かったからだ。

自分を理解してもらえない寂しさは、
家の中だけでたくさんだと思ってた。
だから傷つく前に、心にふたをしてたんだ。

だけど、本当は誰かに知って欲しかった。
ぼくのことすべて、受け入れて欲しかった。
だから都合よく現れたミカを拒めなかったんだ。
きっと。

「そうか」

ここへ来た頃、
ミカの第一印象は、やたらおせっかいなやつだった。
その意味が、少しわかったような気がした。

 
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