日向 HIMUKA
ミカも寂しかったんだ。

「だったら素直にそう言えばいいのに……」

知らず知らず、
声にだしてつぶやいていた。
まさかそんな一人言を誰かが聞いているなんて
思いもしなかったから。

ぼくは、
出窓の向こうに広がる星空に、
ぼんやりと目を向けていた。
ミカの孤独を思って。

その時どこかで、ネコが鳴いたような気がした。
一瞬プリンの声だと思った。

でも……。

まさかな。

こんなとこにいるわけないもの。

だったら―

何か気配は感じる。

同時に、物音というか、声らしきものも。

ヒック、ヒック……。

耳をすませばすますほど、
はっきりと聞こえてくる。
誰かがすする泣くような声が。

だけど部屋にはぼく一人。

机に頰づえついている
このぼくしかいない、
はずだった。

ひっく……
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