日向 HIMUKA
「ハッキリしろよ!」

そのひと言がまずかった。

ピエロは、
ますます激しく泣きだしてしまった。

せまい肩を子供みたいに震わせて泣く様子に、
ぼくは、やや声をおとして言った。

「泣くなよ。お前一体何者なんだ?」

「あ、あたしは、あたしは……ヒック、ヒック」」

泣きすぎた子供のようなかすれた声だけが、
夜の静寂の中で細く、長く、尾をひいた。

ピエロは、ただ悲しげに泣くばかりだった。
適当な言葉も出てこないらしい。

仕方なく、
ぼくは、自分の言いたいことを先に言うことにした。

「お前さぁ、どういうつもりで毎日ミカの夢に出てくんの?」

「ヒック、ヒック、あの子が、あ、あの子が……」

「ミカがどうしたのさ」

ピエロは、
何か言いたげに一瞬顔をあげたが、
また何かを思い出したらしく、激しく泣きだした。

まったく。

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